デニロ

アデュー・フィリピーヌのデニロのレビュー・感想・評価

アデュー・フィリピーヌ(1962年製作の映画)
3.5
1962年製作。脚本ジャック・ロジエ、ミシェル・オグロール。監督ジャック・ロジエ。

フィリピン人なんて出てこないじゃんと思っていたら。

なかよしのリリアーヌとジュリエット。18歳の女子。

/フィリピーヌ遊びしない?/何をするの?/明日の朝「フィリピーヌ」と先に言ったら、ミシェルと付き合えるの/で、翌朝ふたり同時に、/ボンジュール・フィリピーヌ!!/

アーモンドのことらしい。言葉遊び。

で、そのミシェル。テレビ局の下請け製作会社のアルバイト。自分を少し大きく見せてふたりに近づいてます。でもそれほど本気でもなく、刹那快楽的です。何しろ徴兵の時期が迫っていて、アルジェリアの戦争に駆り出されるのは必至なんです。葛藤の化け物になっている青年。でももはや諦めの境地です。仕事にも身が入らず失敗を重ねます。ああ徴兵。戦場か。

バカンスでコルシカ島に。そこでナンパしまくって快楽の海に沈もうと魂胆していたら、なんとリリアーヌとジュリエットがやって来る。で、ミシェルのナンパ大作戦は妨害されてしまうのです。残り少ないバカンスを・・・。仕方ないと切り替えて、18歳の女子を巧妙にいただきます。仲の良かったふたり、ミシェルを巡って鞘当しながら徐々に距離が離れていきます。

そうはいっても陽気なパリジェンヌ、恋の鞘当てさえて楽しんでいる風情。そんなふたりを見ながらミシェルは言う。/色恋よりも大切なことがあるんだっ!!/生き死に。無ではなくならない。死でなくなる。戦場。そういえば、ゴダールも戦争の空虚さを描いている。とはいってもミシェルさん、ふたりの女子からいただくものをいただいてからそんなことを言ってもねぇ。

パリの街を疾走するふたりの女子を観ながらパリだなあ。パリジェンヌだなぁ。そして、終盤なかなか終わらない、そんな映画です。

ユーロスペース 特集上映「みんなのジャック・ロジエ」 にて
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