emily

アデュー・フィリピーヌのemilyのレビュー・感想・評価

アデュー・フィリピーヌ(1962年製作の映画)
4.1
1960年、兵役を数ヶ月後に控えたミッシェルはカメラマンの助手として勤めているテレビ局で、二人の女の子リリアーヌとジュリエットと出会い、なんとか気を引こうとする。仕事を辞めてしまったミッシェルはバカンスでコルシカ島へいく。そこで二人と再会し、三角関係から二人の関係もギクシャクし始める。

女二人と男一人の異色の三角関係の中で、二人の茶目っ気たっぷりの遊びが溢れんばかりの瑞々しさを、放ちながら画面いっぱい以上にこぼれ落ちてくる。白黒のコントラストも美しく、ガーリーな世界観が独自の色で染め上げ、結果も過程も見せることなく、コラージュのように切り取られ、とにかく幸せ絵図が溢れかえっている。

二人がただ笑いあって街を歩き、洋服の色のコントラストや、言葉の遊びによるゲームなど、二人だけの世界観の全てが、笑いと連結しており、みてるだけで幸せな気分にさせてくれる。しかし築き上げた関係が、男に脅かされる。決してメロドラマに転ぶことはなく、多くは語らず、動きと笑顔と目線で感じさせる。

海と光のコントラストも動きの中に刹那さも感じさせ、彼女たちの世界観をよりみずみずしく美しいものへと引き上げてくれる。CMを何度もとりなおしてる映像を大きく映し、それをみてる観客越しに切り替わる。車の描写も車内と外からとコロコロと切り替えを行い、独自のリズム感を構築し、寄り添う音楽も彼女たちの世界観にしっかり動きと表情を与えている。

理解するのではなく、感じる。彼女たちと同じ目線で幸せな時間を分かち合い、最後には同じように手を振り続ける。別れを惜しむように、そうして彼女たちにまた会える日を願いながら。。
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