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幻魔大戦のcamusonのレビュー・感想・評価

幻魔大戦(1983年製作の映画)
3.7
公開当時、私は小学生でしたが、テレビCMで、
自由の女神に亀裂が入る映像、
大友克洋による面長で狐目のキャラクター造形、
ローズマリー・バトラーの熱唱、「ハルマゲドン接近」のキャッチコピー、
超能力戦士達が放つオーラのほとばしりと、その光が宙で絡み合う映像を見て、
新しいアニメの夜明けを見ているようで、何か胸が熱くなったのを覚えています。

当時は小学生だったため、映画館に見に行くことはなく、
結局見ないままになっていました。

さて、四半世紀を過ぎて初めて本編を見たわけですが、
想像していたのと随分違っていて驚きました。
原作は未読です。

映像にはかなり力が入っていて、人体が放つ光の表現などは今見ても色褪せていません。
ただし、力の入れ方には、かなりのムラがあります。
コーヒーの湯気や液面の模様が移り変わる様子を
微に入り描写しているシーンがあるかと思えば、
ニューヨークや東京が崩壊するシーンなどでは、1枚絵を揺らしてるだけだったりします。
ハリウッド映画なら最も力を入れる部分でしょうが、この割り切りはすごいと思いました。

ストーリに関しては、全宇宙の終末という壮大なテーマなのですが、
主人公の丈周りの描写が妙にしみったれているというか、
丈の姉ちゃんが、巨人の星の星飛雄馬の姉ちゃんそのもので、
丈の声を飛雄馬と同じ古谷徹があてていることもあり、昭和40年代臭が強いです。
当時見たとしても相当違和感があったのじゃないかと思うくらいです。

また、全宇宙を支配しようという巨悪を、
非常にわかりやすい卑近な悪のイメージで描いていて、
どうしても薄っぺらいB級感が拭えません。

当時のテレビ広告では、そういうイメージはまったくなかったので、
本当に広告がうまかったのだと感心してしまいました。

あと、当時は気づきませんでしたが、音楽監督に、
ELPのキース・エマーソンを配していたのですね。
「光の天使」は、やさしく、強く、悲しく心に響きます。
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