TakashiIbayashi

GONINのTakashiIbayashiのネタバレレビュー・内容・結末

GONIN(1995年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

90年代暴力映画の金字塔。
血と雨と闇に彩られた石井ノワールの中で、豪華俳優陣たちがまるで花火のように激しく命を散らしていく。そのあまりに苛烈な死に際に目を離すことができない。とくに終盤で永島敏行演じる五誠会組長大越が射殺される瞬間は白眉だ。降りしきる雨の中、防弾チョッキを自ら引き剥がしながら命乞いをする大越。根津甚八演ずる警察崩れの氷頭が膝を撃ち抜いて動きを止めてから拳銃の照準を頭に合わせて引き金を引く。火を拭く銃口、飛び散る脳漿。そして痙攣しながら崩れ落ちる大越。カメラはこの一瞬をひとつのフレームに捉える。まさに映画技術の組み合わせが芸術の域に達するシーンだ。音響、編集のリズムも相まって、暴力映画史に燦然と輝く死に様となっている。この映画が作られて20年以上たつが、いまだにこのシーン以上に衝撃的な死に様を映画で観たことがない。

追記:余談だが、ゲーム『バイオハザード』の撃ち殺されるゾンビの倒れ方は、このシーンを参照して作られたとゲームの製作者が言っていた。それくらい後世の創作物に強い影響を与えた凄い映画なのだ。
TakashiIbayashi

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