Mypointofview

櫂のMypointofviewのレビュー・感想・評価

(1985年製作の映画)
4.0
大正・昭和の高知県が舞台になっている。

こちらも人間の本性まるだしの映画だった。浮気男が最後に本妻を捨てるという話で、貧しい時代、本妻が2号の作った子供を立派に育て上げるということが美徳だった時代。価値観はまるで違うが、それを諭しにきた、強いどっしりとした置屋(大貞楼)の女将、大貞を演じた草笛光子さんは、クールで男らしくサバけた女将で、かっこよかったが、人情味は感じなかったので、それも役作りしたのだろう。

十朱幸代さん演じる貴和は、豊かな品格と強い健気さと美しさをもっていて、素敵な女性だった。どんな姿になっても女性としての自分の考えを曲げなかった姿は、この時代において持ち続けることが困難だったろうに、それを守り抜いた姿は1人の女性として理想的だった。

名取裕子さんの芝居は真似したい。高知一にのし上がった芸妓の手練手管が見えて、わかりやすかった。ギリギリを攻めるあたりがおもしろいが、名優ではないのかも。

ぎこちなさや作った感じがわからない自然な演技で、本気でその役の喜怒哀楽を存分に嫌というほど味わっている、そういう俳優な良い目指すべき俳優なのかもしれない。