デニロ

あしたの私のつくり方のデニロのレビュー・感想・評価

あしたの私のつくり方(2007年製作の映画)
4.0
本当の自分。

根源的なテーマで押している。元気で活発で頭がよくクラスの人気者のわたし。ハブられて忘れられた存在のわたし。元気にずっこけて笑いをとるわたし。カラオケでヒット曲の替え歌を披露しウケるわたし。理想の自分を友達にメールで仮託するわたし。友達からのメールアドバイスを待つわたし。そして、何をしているの判らなくなっちゃったわたしたち。

嘘と行い。どーしょうもない嘘をついたことがあるか、と問われる。毎日の会話は本当の事だけれど、こころの中にあることは嘘。嘘かまことか何が何やらわからぬ言葉がほとばしり生きている証になる。えっ、何を言っているんだろうわたし。そんな局面がある。決して嘘をついているわけでもなくでもそれは、そんなことは、と誰にともなく言い訳する。そして本当の事だけを本当として行う。

ついこの間観た『生きてるだけで、愛。』に「私は私と別れられない」という台詞を主人公は叫んでいた。主人公はどーしょうもない嘘をつくことができなくなって、自分自身を突き詰めすぎて、身も心もバラバラになってしまう。嘘も方便というけれど、生きていくうえで時には嘘をつくことはありなんだろうか。これから長く生きていかなければならぬ若人にはつらい課題だ。ま、たいていの人は折り合いをつけるけど。長いものに巻かれたり、朱に交わって赤くなったり。それをして嫌になっちゃう人もいれば、それをできない人もいる。でも、生きているだけで、愛。

本作の成海璃子は今の彼女よりも大人の顔。役を演じていて感じるところがあったんだろうか。前田敦子はまだまだ硬い表情だったけれど、ドッジボールをする姿は小学生そのものの表情。こういう作品が出発点であるということはしあわせなことだと思う。

2007年製作公開。原作真戸香。脚本細谷まどか。監督市川準。
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