このレビューはネタバレを含みます
なかなか良かった。
何でもない話が続いて行くが、ポルコ・ロッソ(森山周一郎)が自分なりのポリシーで生きていく様が何とも気持ちがいい。彼が飛行機を乗り回すのも。宮崎駿監督の飛ぶことへの憧れと、飛行機会社の実家の影響もあるかも。
ジーナ(加藤登紀子)といろいろあった過去が何となく語られるのも良かったし、フィオ(岡村明美)に飛行機を任せてしまうやり取りもなんだが微笑ましかった。
良かったのは、フィオに聞かせる話として、自分が戦闘で最後の一機になり、死の淵をさまよう所、切なく、彼が豚になったことにも関わっている。
主人公のポルコ・ロッソがなぜ“豚”になったのかははっきり説明されないが。
イタリアのこの時代は、ファシストの独裁政権で、それに対抗する共産主義者は“赤い豚”と呼ばれていたらしく、宮崎駿監督自身も左翼思想に傾いていたから。
また、ポルコ・ロッソは戦友を次々に亡くし、自分だけ生き残ってしまったから、その罪悪感で人間を捨てて豚になったとも。
豚と聞いた時は、あれっと思ったけれど、観直すと違和感が無かった。最後に戻ったかは分からないが、なかなか粋だった(2021.5.16)。