矢野竜子

紅の豚の矢野竜子のレビュー・感想・評価

紅の豚(1992年製作の映画)
4.0
シアタス調布にて朝一で見てきた。
冒頭は空を見上げている状態から
ティルトダウンで始まる。
陸(海)と空の上下。
ただ今回は上下におけるテーマ性は希薄で
娯楽作に徹しているように思う。
陸(海)と空が後半、雲の上とさらにその上で
生と死を表すぐらい。
あるいは最終的に女性たちは
空に飛び立っていくが
男たちは海に残され、
シチュエーションが反転するとか。
空中戦の描き方は
空という広大な空間を巧みな構図と
切り取りでもはや別の空間を出現させている。
同じフレーム内に飛行機が入ることは
アニメーションだからこそできることだと
思うが、別フレームにあったものが
同フレームに入ってくる感覚は空間の接続、
ひいてはその接続による空間の拡張を
感じさせ気持ちが良い。
所詮戦争ごっこという前提がこの監督らしいが、
主人公を豚にしたのも恥じらいな気がする。