佐藤克巳

煉瓦女工の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

煉瓦女工(1946年製作の映画)
4.0
幻の映画に相応しい検閲で御蔵入し戦後公開となった千葉泰樹監督の最下層で蠢く下町人情劇の秀作。黒澤明「一番美しく」の矢口陽子が、夜学に通う前向きな女工を演じて清々しく、悦ちゃんや小高兄弟の子役等も好演したが、新協劇団の面々の力演、矢口の父三島雅夫、半ダースの子持ち小沢栄と赤木蘭子、先生の信欣三、ポマード青年宇野重吉、朝鮮人のゴミ屋滝沢修等が素晴らしい。おそらく検閲の原因は、逮捕された劇団員の世間の評判が上がる事を懸念したのでは?また、内容的に近い「綴方教室」に遜色無く、ロケ地の鶴見地区の風景は、あの「あしたのジョー」の貧困街そっくり。
佐藤克巳

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