夫の横で元恋人との時間を振り返り「全てで、無だった」とこぼすイヴモンタンの、甘美で儚げな表情に心を鷲掴みにされる。
ロザリーが実にフランス女らしい。
夫にさえも手の内を明かさず、男を立てながらも実は常に男より優位に立つ。
女として余裕で毅然な態度を貫き、男を掌であやすかの様。
一方で、何歳になっても欲は消えず、醜くがめつくあり続ける男ども。
嫉妬に狂うおじさんが愚かではある。
圧倒的敗北を認めざるを得なくなり、「彼がいないと君は空虚だ。彼といると君は輝く」と打ちひしがれる中年親父の悲哀は辛い。
女には決して勝てないというのがフランス流な哲学な気もするけど、若さを通り越したら女の方が後悔しそう。
元彼と今彼と家族団欒の食卓を囲むとか3人で腕組むとかどういう状況??と突っ込んでしまう。
失恋して思いがけないところで幸せを手にした、というラストなのか?また3人の歪んだ関係を始めるのか?
イヴモンタンがたまに土屋アンナに見えた。