にこ

古都のにこのレビュー・感想・評価

古都(1980年製作の映画)
4.2
百恵ちゃん引退作品となったこの作品、もう戻ってこない苗子のように、もう戻ってこないのか…百恵ちゃん…
引退記念ということもあるのか、一人二役を見事に演じ分けた百恵ちゃんは素晴らしい女優(私にとっては歌手でもアイドルでもなく女優)でした…。

ストーリーはもう切ない。
生き別れた双子の容姿は同じであれ、歩んできた生活があまりにも違い過ぎて、寄り添えない距離がなんとも切ない。
物語前半で、千恵子の母が「千恵子をうちの子にしてしまって、あんたのためによかったんだろうか、悪かったんだろうか」というセリフがなんとも考え深い。
川端康成はじんわりときれいな物語を書く人なんだろうな。読んだことはないけれど、好きな作家さんになれそうな気がする。

余談で、千恵子の父役の實川延若さんが祖父にそっくりで同じ京都ではないが大阪に住んでいるのでちょっとした訛りが祖父と被り、役もいいお父さんな性格なところも同じですごく祖父に会いたくなってしまった…
いろんな意味でも切ない作品でした…
にこ

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