流離

古都の流離のレビュー・感想・評価

古都(1980年製作の映画)
3.5
どうやって観たのだろう、封切りのときだったかどこかの名画座だったか・・・定かではないのですが、とにかく映画館で観た記憶があります。

たぶん同世代の方に比べたら、山口百恵さんの作品を観ていないと思います。テレビの「赤い~」シリーズもあまり見なかったし。『伊豆の踊り子』や『潮騒』もテレビで放送されたのをかいつまんだ程度。なんでこの作品だけ観たのか不思議なのですが、その割には自分の中に残っています。

百恵さんが双子の2役を演じていましたが、百恵さんが持つ嫌味にならない陰の部分、しっとりとした感じが京都によく似合っていました。北山杉の村の方が、はまっていたかも。さすがに京都の方が観たら違うのかもしれませんが京都弁もいい雰囲気を出していましたし、「歌手・百恵」しか知らなかった私には驚きでした。三浦友和さんはあまり印象にないのですが、岸恵子さんってすごい!と思って帰ってきたのを覚えています。

市川崑監督だったのかぁと改めて思いました。今考えると、二役の百恵さんのお化粧や着物の違いは、二人の生活の違いを表現する細部へのこだわりだったのですね。当時は単純に違いを出すために、としかわからなかったのですが。古都の町並み、祇園祭の情景、同時に二人が移るシーンの合成が違和感なく見事でした。特にラストシーンの二人、早朝の町屋の風景が美しすぎて・・・北山杉の美しさは今でも忘れることができません。凛として生きる二人の女性のような美しさでした。
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