イオンシネマシアタス調布の再上映にて。
人生でいちばん好きな映画を映画館で、しかも特大スクリーンと極上の音響で見ることが出来た。こんな幸せほかにあるのでしょうか。
映画館だと、雫が暮らす多摩の街や丘の上の街並がバーーっとスクリーン一面に広がってくる。さらに、学校の雑踏、猫の喉音、雫の足音、姉の二段ベットの軋む音。弦の掠れまで分かる劇伴。とテレビでは知らなかった音もたくさん聴こえる。
これによってね、街が、雫たちが、世界がまるで本当に生きているような気がしてきたんですよ。
だから映画の世界に入り込んで雫や聖司の恋愛や創作に対する一喜一憂を共に味わうことができた。客観的に見守ったり、感情移入するんじゃない。同じ気持ちになる。主人公たちと一体化する。こんなにスクリーンという四角い幕と客席の自分の距離が限りなくゼロに近い経験はしたことが無い。
何度も見ている作品なのにまるで別物の作品のようだったし、映画館で鑑賞したことで『耳をすませば』という作品にもう一度出会い直すことができた気がする。本当に特別な思い出の残る映画鑑賞体験でした。
しかし、ジブリの画面の密度は本当にすごい…映画館の大スクリーンで見た時に始めて真価を発揮するような画作りと絵の迫力になっていると今回はじめてわかった。
例えば画面手前を歩く雫、奥に街並みって画がやたら多くて。雫が悩んでいても生活は続く。世界は回る。っていうよるべなさがある。小さい少女とでかい街っていう。この感覚が大きな画面だとより強調されていて。だから、雫が弱い自分を克服して2人で背中越しに見る朝焼けの街並みっていうラストは感動的に響くんだな。冒頭からずっと街とともにある映画なんですよね。
人が歩く、景色が流れる。空を飛ぶ、階段を降りる。なんてことない動作でここまで驚き、感動できるなんて。「一生に一度は、映画館でジブリを。」この言葉の意味がよく分かりましたよ……
下記は中学生の時の感想。
人生ベスト映画の1つであり、
マイベスト青春映画。
自分より頑張ってる奴に頑張れなんて
言えないよ。
この感覚がセリフに起こされているのが
本当に素晴らしい。
何か目指すものがある人への羨望と
それ以上の尊敬。
地球屋、あの町の空気感、音楽全てが
自分の琴線に触れすぎている。
何かあったら見返したい1本。
エンドロール、クレジットの裏で
登場人物のその後がさりげなく描かれる
のも愛があって良い。
杉浦にスポットが当たるのも。(2019.1.11)