東京アリス

耳をすませばの東京アリスのレビュー・感想・評価

耳をすませば(1995年製作の映画)
5.0
先日観た『猫の恩返し』が『耳をすませば』のスピンオフと知り、遅ればせながらの鑑賞。

こんなに青春の甘さ酸っぱさ、苦々しさ、この世を生きる喜び…を描いたものに会ったことないよなぁ...唖然とする感動。

あの時間を、もちろん子供は表現できないだろうけど、更にもちろん、子供ではないおじさんがこれを表現できることに驚愕した。
(柊あおいの原作も見なくては~~)

脚本と絵コンテを書いた宮崎駿に、「沢山作って大変だったり褒められたりしたでしょうが、作れて一番嬉しかったのどれ?」を聞いて、これだと言わせたい。

作品に点数をつけるのは毎回、なんらかの難しさを(おこがましさ?)感じるのだけど、雫と聖司、おじいさん仲間とのセッションのシーンで、もうノックダウン。満点です。

生きることをごまかさず、自分のものにしようと格闘してるふたりがまぶしくて。
色々ごまかし逃げながら大人になった分、ふたりの生き様は目に痛いんだけど、そう感じられる分、大丈夫とも思える。

これは、思春期の特別な時間を切り取っただけの物語じゃないんだな。
全ての人に、「自分の人生にどう責任をとっていくか」を問う、ハートフル映画を装った刺客映画です。

バロンと空を飛ぶイメージシーンはもちろんなんだけど、並んでる友達の視線を盗み見る瞬間とか、聖司の姿勢(なんか腰のあたり)に年齢以上の大人っぽさが感じられて、アニメの強みってのがわかった気がする。

頬の赤らみはわかりやすく漫画的で、今では違う表現になりそう。作品全体の絵のトーンは、洗練されすぎ?な最近のアニメのタッチよりずっと肌になじみます。

制作者の意図がもれずに伝わってきたような、映画体験として最高な時間でした。
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