半兵衛

花嫁さんは世界一の半兵衛のレビュー・感想・評価

花嫁さんは世界一(1959年製作の映画)
3.5
日系アメリカ人で農業を営む男(フランキー堺)が嫁探しのため日本を訪れ、ガイド(雪村いづみ)の案内のもと各所を渡り歩きお見合いをするが、その道中でお互いを意識し合うようになる様子を描いたラブコメの佳作。この映画が製作された時期は『結婚のすべて』や『最高殊勲夫人』、中平康の諸作品など注目されていた新人監督が軽快なラブコメを輩出していた時期で、一世代上にあたる新藤兼人監督がそれらに触発されて本作が作られたと思われる。

新藤作品としてはテーマ性は薄く、嫁さん探しをするフランキーと彼を引っ張る雪村のやり取りを軽快に捌いている。そしてイメージに反し意外に新藤監督コメディの演出は様になっていて、スピーディーに淀みなく物語を展開していくのもあって結構楽しめる。主人公の二人のキャラクターの親しみやすさも作品の魅力をプラスする。

ラストへの流れもテンプレだけどフランキーと雪村の好演により充実感が得られ満足な気分に。

小沢栄太郎や千田是也、乙羽信子といったキャスティングや、コメディにも関わらず嫁探しに訪れた地方での労働者の問題を取り上げるところが新藤らしい。
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