尿道流れ者

ワイルド・スタイルの尿道流れ者のレビュー・感想・評価

ワイルド・スタイル(1982年製作の映画)
3.5
まるで爆撃を受けたかのように荒れ果てたサウス・ブロンクス。そんな街に建つ、まだ倒壊はしてないってレベルの廃墟の壁を彩るグラフィティアート。それは美しいとかかっこいいというよりも、廃墟との調和に世紀末感を感じて怖さが際立ったものだったが、映画の主題となるにはふさわしい存在感がある。そんなケンシロウと一緒じゃなきゃ歩けないような街で、電車に夜な夜なグラフィティアートを描くアフロがおりまして。そのアフロが悩んだり、ちょっと頑張ってみたりする話。

しかし、ストーリーには特に意味は無い。最後に黒人文化が世界を牛耳るんだ的なメッセージをうっすら感じる演出はあるが、それも微妙でただ主人公の満足感や達成感を表しただけだったかもしれない。拙い映像で盛り上がりどころの特にないストーリー。

これはブラックピーポー達のピースでホットなバイブスを感じる映画で、ヒップホップ原始時代のある種のおぞましい熱意と荒削りな技術の尖り方が面白い。指パッチンだけで始まるラップ。バスケの試合中にトラベリング覚悟で始まるラップバトル。ダサかっこいいファッションとかなにからなにまで、ヒップホップ原始のあの頃感がつまってるんだと思う。詳しくないから分からないけど。

面白いってわけではないけど、なんかこうバイブスにやられちゃいましたねー。バイブスに。