伊達巻

ラザレスク氏の最期の伊達巻のネタバレレビュー・内容・結末

ラザレスク氏の最期(2005年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

ひとり暮らしのおじさん、身体が調子悪いから救急車呼んだのにだいぶ長いこと来ない、どんくらい来ないかって今の日本で言えばもうたぶん治療終わってんじゃないかってくらいの時点でようやく来る、もはやいつ呼んだのか忘れたくらいの頃にようやくのこのこ(彼女を責める気にはなれないけどさ)やってくる。しかしそれは単なる物語のはじまりにすぎない。不幸にもバス事故の影響でどこの病院もてんやわんやの時期だったとわかるがまさかこれがある意味で死への道だったなんて想像もつかない。たぶん自分の吐瀉物がついたまんまの帽子をかぶりながらガタガタの救急車に乗って四方八方の病院をたらい回しにされ行く先着く先で名前を聞かれ両手を挙げさせられ嫌悪され10時間くらい経った挙句にやっとまともに請け負ってもらえそうな(だがみんな疲れ果てて正気を感じられない)病院に着いたかと思えば全裸で丸刈りにされちんぽこを洗われるという行為をまざまざと見せつけられ、それ自体は別に普通なことなんだろうけど、それまでの地獄を知っているこちらからすればもうただただ無情な死刑が始まったようにしか思えず底なしの悲しみに襲われる。どう終わるのかと思えばあのショットで終わるのだ、悪意しかない、しかしそれは怒りに満ちた誠意でもある。賞は必然
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