三隅炎雄

疾風小僧の三隅炎雄のレビュー・感想・評価

疾風小僧(1960年製作の映画)
3.8
和田浩治✕西河克己の『小僧』シリーズ2作目。原爆孤児設定はなくなって、サーカス射的芸人の少年が幼い頃別れた父親の生まれ故郷旭川を訪れる物語になっている。明白に『渡り鳥』シリーズを意識した作りだが、無国籍映画内でアイヌを扱ったのは『大草原の渡り鳥』よりこっちのほうが先である。はじめ1時間の北海道パートは清水まゆみ(アイヌのクラブ歌手)、残り30分の東京パートは主演デビュー前の吉永小百合がそれぞれヒロインを演じる変則的な作りになっている。
フェリー客のラッドだクーパーだランカスターだのアメリカ映画スタア早撃ちNo.1話に、森の石松よろしく殺し屋大坂志郎が割って入るといった調子でパロディ色が強まった。そのぶんアクション映画としてやや構成が甘く散漫になってしまってはいるものの、依然演出快調でじゅうぶん楽しめる。中年ガンマン大坂と早撃ち少年和田の組み合わせもよく、新旧さすらい人の心情も感傷に溺れることなく簡潔に押さえてある。

和田は劇中歌を1曲歌うだけで、歌のメインは前のように守屋浩になっている。
三隅炎雄

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