うにたべたい

宇宙からのメッセージ MESSAGE from SPACEのうにたべたいのレビュー・感想・評価

4.1
1978年の東宝SF特撮。
特撮を作りたいということで企画が始まるが、企画中に全米でスターウォーズが大ヒットしたため、それにあやかるために急遽舞台を宇宙にして内容をスペースオペラに変更。
映画作りの参考にするために、製作陣はわざわざハワイまでスターウォーズを見に行ったといいます。
そして総製作費10億円が注ぎ込まれ、スターウォーズに本気でぶつけるつもりで作成された映画という、オタク受けする製作経緯がある作品です。

ストーリーは里見八犬伝が参考にされています。
ジルーシアという遠い惑星がガバナス帝国の侵略を受ける。
ジルーシア人の酋長はこの危機を救う勇者に助けを求めるため、聖なるリペアの実を宇宙に解き放つ。
ジルーシア人の娘「エメラリーダ」と戦士「ウロッコ」は、この実を追って宇宙に飛び立ちますが、ガバナスもそれを追って宇宙戦艦を発進させる。
エメラリーダとウロッコは、8つのリペアの実に導かれた8人の戦士を集め、宇宙に平和をもたらす為にガバナス帝国を討つ、というストーリーです。
海外にも多数の国々で公開され、興行的には成功したそうですが、評価は良くなかったようです。
特撮はかなり頑張っていた感じがあって、特撮技術的にはスターウォーズ Ep.4と引けを取っていないように思えます。
一方で、顔面を銀色に塗っただけの異星人の表現や、いかにも悪の組織でございと言わんばかりの、宮殿のようなガバナスのアジトなど、子供向けの特撮映画ぽい感じが強く、スターウォーズとぶつけるとか、海外に通用させることを目的にするならベクトルが違う感じがしました。
ロボットも登場しますがデザインにインパクトがなく、無難です。
また、地球の存在も知らない異性人の姿がコスプレした地球人そのままなのも疑問でした。
宇宙人らしい宇宙人の姿はなく、仮面ライダーや戦隊ヒーローの宇宙人描写から抜け出せていないように感じました。

ただ、子供向けの特撮映画として見ると普通に面白かったです。
宇宙船がなぜか帆船の形をしていたり、宇宙ホタルなる放射性物質を追いかけて、顔面むき出しで宇宙遊泳するのですが、子供向けだったら許される表現かと思います。
ストーリーがわかりやすく、8人の戦士は特徴的で、あっという間の100分強でした。
個人的にはスターウォーズよりも本作の方が断然面白かったです。

色々ツッコミどころの多く、迷作扱いされがちですが、これで結構楽しかった。
私的には多分、本作はまじめに観ない方がいいんじゃないかと思うんですよね。