ジェイコブ

顔役のジェイコブのレビュー・感想・評価

顔役(1965年製作の映画)
3.0
関東最大の極道が一同に会した。その理由は、関西のヤクザ一家が関東進出を目論み、横浜の土地開発事業参戦を企てているとのこと。関東ヤクザは幹部達の信頼も厚い中神とその舎弟達を開発地に送り込む。中神は信頼する反骨精神の強い弟分早見と共に、関西ヤクザに先んじて開発に取り掛かるのだが、関西ヤクザの妨害と、中神を快く思わない関東ヤクザの謀略に飲み込まれていく……。
関東ヤクザと関西ヤクザの抗争を描いた石井輝男監督作品。深作欣二が脚本に参加し、高倉健が助演を務めている。
人物も多く、人間関係が非常に複雑な割にストーリーは単調で、あまり深みは感じられない。それは、制作の段階でかなりゴタゴタがあった事が関係していると思われる笑。
本作はその点を踏まえると、ヤクザ映画というよりは、ヤクザの人間的な一面に重きをおいて描かれた任侠作品と考えた方がしっくりくる。関東ヤクザが捨て犬を拾って可愛がり、銃撃戦に巻き込まないようにと動物病院に託してから打ち込みに行ったり、知的な一面を見せようとアンパン食べながら英語雑誌を読むも、そもそも上下逆だった敵の関西ヤクザなど、人間味のあるシーンが満載である。ドンパチやり合うシーンは少なく、あくまでも話し合いや抗争を避けていく辺りも、リアリティを重視して描かれるヤクザの姿が見られる作品。