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スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナスのzukkiのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

25周年記念上映にて再鑑賞。

大画面の威力。シネスコの画が生み出す重厚さと緊張感。そして細部まで造り込まれた世界観。これはスクリーンで観るべき映画だと思う。面白かった‼︎
ポッドレースやグンガンの戦闘、そしてダース・モールとの決闘など、見せ場のパワーに圧倒された。


改めて見ると、キャラの登場シーンがどれも基本あっさりしていて驚く。「ただ、そこにいる」といった趣でバトル・ドロイドが映し出され、待ちに待ったヨーダの登場は引きのショットというように、非常に淡白。

また、ヴェイダーの始まりの物語でありながら、途中まで(というよりほぼ最後まで)主人公の座にはクワイ=ガンがいるように思える。アナキンがヴェイダーになる匂わせは、音楽などほぼごく僅か。
この演出と対照的なのは、続三部作の演出。カメラは心情に沿って動き回り、皆仰々しく登場し、「映画」であるということを否が応でも感じさせてくる。スピルバーグ的である。

余裕さにも似た演出の抑制度合い。きっと、本作はカメラワークや編集で魅せるのではなく、物語で観客を魅了することを徹底しているからだろう。
新たな物語。この、何の説明も無く銀河の大いなる物語に放り込まれる感覚。とても心地よい。

その一方、ジェダイ、スカイウォーカー、タトゥイーンといった物語の核は保持し、旧三部作を想起させる様々なシーンを挿入している。ジャングルに降り立つ宇宙船、巨大怪獣とのチェイス。タトゥイーンではタスケンやジャワ、ハット族を登場させ、勿論ジェダイとライトセーバーは物語の中心にある。
そうした要素を受け継ぎつつ、ラストの式典まで、敢えて旧三部作を想起させる要素を取り入れ、次作に繋げた。


本作で最も力が入れられていたのはやはり、ポッドレースのシーンではなかろうか。EP6でのスピーダーバイク・チェイスを数段進化させ、複雑化し、実際のカーレースと同等の迫力と説得力を一つ一つのカット及びシーンに付加していく。シアターで観ることで、効果音と音響のパワーをより強く感じられた。

そして、ルーカス監督だけの力では絶対に叶わなかったと思われる世界観の構築度。洒落たデザインの宇宙船、多種多様な衣装、生き生きと動くCG。しっかり黒澤明からの引用(『蜘蛛巣城』より。『蜘蛛巣城』のネタバレになるので伏せる)もある。

こんな奇跡的なリブート作品、もう二度と現れないのではないだろうか。
ルーカス制作の他5作のリバイバルも全国的にやって欲しいと切に願う。
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