ふうこ

半分の月がのぼる空のふうこのレビュー・感想・評価

半分の月がのぼる空(2009年製作の映画)
3.8

偏見とは分かっていながらも、正直とても苦手な「純愛と重い病」という組み合わせの邦画・・・
しかし、橋本紡さんの、ライトノベルではない方の原作小説を以前読み(正直、結構前のことで内容もほとんど覚えてないのですが…苦笑い)好きだったということもあり、鑑賞しました。

肝炎で入院中の裕一(池松壮亮)が、生まれつき心臓に重い病を抱える里香(忽那汐里)と出会い、恋に落ちるというストーリーです。

池松壮亮は“実在する男子高校生”感がありとても好印象でした。忽那汐里も気が強いながらも儚げな里香を好演しており、(ほとんど覚えてないけど)あぁ原作の里香もこんな感じだったなぁ…と。時々ハッとする程美しい表情をみせる里香と、そんな彼女にぼーっと見惚れる裕一がまた“リアル”でよかった。

後半、
・・・ん?あれ?
・・・・えっ
・・・あぁ・・そうだったのね
となる箇所があるのですが、それも個人的に好きです。カメラがゆっくりとズームしていくシーンでは、言い知れぬ切なさに鼻の奥がツーンと痛くなりました。

私が普段学校に通い、バイトに行き、友人と遊び、家族と団欒し・・・そういった何気ない日々を、里香は青春時代に過ごせなかった。それがどういうことなのか。きちんとした実感を伴って想像できないことがどれ程幸せなことなのだろうか。
また十代のうちに、これ程お互いを好きだと大切だと思える相手に出会えただけでも、里香は幸せだったのだろうな、と。こうした純愛と重い病を扱った作品を観ると、恋を知らずに亡くなった地元のクラスメイトを不意に思い出してしまいます。

いろんな意味で「救い」がある終わり方でよかった。里香も裕一も、手放しで幸せだとは言えなかったかもしれない。でも、決して不幸ではなかった。そんな温かな痛みがラスト一気に押し寄せてきました。もう一度、原作も読んでみようかな。


〜おまけ〜
伊勢市って関西ですよね。実は関西人の私は、時々イントネーションの違う関西弁にいちいち引っかかってしまいました(苦笑い)
関西人は関西弁に厳しいとよく言いますが、ほんまにその通りですね。すみません、気にしやんとこうと思ても気にしてしまうねん〜(笑)
ふうこ

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