りょうすけ

悪魔の陽の下にのりょうすけのレビュー・感想・評価

悪魔の陽の下に(1987年製作の映画)
3.3
「悪魔の陽の下に」

モーリス・ピアラ監督作品。パルムドール受賞時に賛否両論を巻き起こしたという宣伝文句ばかりが先行する作品。実際、キリスト教圏ではブーイングが起こるのも致し方ない作品なのではないかと思った。

主人公の神父は、真面目であるが故に信仰の限界に気づいてしまい、神父としての自分に無力感を感じてしまう。そんな彼が出会ったのは、神の対局に存在する悪魔である。

私は本作を神を盲目的に過信することに対する批判を描いた作品であると感じた。

神を理由に歴史は作られてきた。「奇跡」と言われる様なことも多々起きたのかも知れないが、今となっては神の存在を理由にするには少し行き過ぎと思う様なものもある。「決闘裁判」などはまさにその例ではないだろうか。どんなに信じても助けてくれないときは助けてくれない、それでも人は神を信じるのか。

などと、考察することはできるものの、やはり蚊帳の外の世界である故に限界がある。知識無くしてより高次の考察をすることは難しいだろう。

だが、そんな考察をさせてくれるほど異文化に簡単にアクセスできる映画はやはり素晴らしいと思う。本作も作品としてはなかなか難しいが、一見の価値のある作品だと思う。
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