さく

サンダカン八番娼館 望郷のさくのレビュー・感想・評価

サンダカン八番娼館 望郷(1974年製作の映画)
4.5
原作がノンフィクションとのことなので、終始重い雰囲気で進むのかと覚悟を決めておりましましたが、思いの外、肩の力を抜けるシーンが絶妙なタイミングで挟みのまれていたりして内容的には重いながらもきちんと「映画を見る楽しみ」要素もある作品でした。

ここからネタバレが入ります。

正直、途中までは、「ノンフィクションらしいが、これこのまま終わりまで行ったら書いたらダメなんじゃないの? 騙したまま…?」と若干不安になりながら見ていたのですが、流石にそんなことはなくきちんと回収してくれました。それも綺麗に…

サキさんを演じた田中絹代さんは私がとやかく言うまでもなく「名演」としか言いようがないのですが、ここまでくると演技が上手いとかテクニックがどうとかいうレベルではなく、彼女がそれまで生きてきた軌跡が全て演技として表出されているかのようで、凡庸な役者の演技とは迫力が違いすぎる。これ以上のサキさんは無いと思います。晩年の樹木希林さん並みに鬼気迫る迫力がありました。キキではなくサキですが。おっさんになるとどうしてつまらない駄洒落を言いたくなるんでしょうか?

冗談はさておき良い映画でした。
さく

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