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漂流街 THE HAZARD CITYのtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

漂流街 THE HAZARD CITY(2000年製作の映画)
3.1
原作は馳星周の同名小説。
原作ファンからは、その引っ掻き回し振りにドン引きされた三池崇史監督作。

砂漠を走る護送車、上空にはヘリ。
ここはアリゾナ辺りの砂漠でしょうか?
いいえ、通り過ぎる看板には"ポンカレー"
字幕には"埼玉"
え?日本ですか? 日本です(大無理)

ヘリから墜ちる主人公ブラジル人のマーリオと恋人ケイ、どどーんと景気良く爆風立上がり、そこは東京の歌舞伎町。
2人は無キズ、いったいどうなってんのこれ 笑

三池崇史監督のハチャメチャクライム物。
はっきりいってポンコツ代表作!笑
これは監督のデタラメさを笑って観れる人向けです、この豪華な顔ぶれにも関わらず監督が好き放題やらかした作品が東宝で公開されたことが信じられない…🤣

徹底的にあかんのは、主人公のマーリオに話の舵取りを与えないのが致命的。
彼を魅力的にとか物語性とか厚みをつけようという意識がなさそうなんです。
…じゃ誰がメイン?ってなるでしょう?

これが特別出演枠の吉川晃司。

中国マフィアのボス及川光博とヤクザの組員の吉川晃司が相対するところはめっちゃ絵を作ってる。
人形緊縛がご趣味の及川光博はなかなかの好演だし、狂犬吉川晃司はハマりどころ。

謎の闘鶏所では、何故これをCGにする必要があったのか分からないニワトリックスが拝める珍場面。

そして何故か卓球。
「卓球…しませんか?」と及川光博に言われ、
ラケットを握る吉川晃司。
そしてここでもマトリックスならぬ卓球リックスが拝める。
一体何やってんだこの2人 笑

一応、吉川晃司と及川光博のコカインと現金の取引に主人公が現れコカイン奪って逃走、手ぶらで組に帰った吉川晃司、指つめろや!と責められ面倒くさくなり組員全員射殺。
そして自分が組長に。
で、奪われたコカイン取り戻すかな…と、及川光博との対決の後、のっそりと主人公とタイマン、という筋はあるものの、断片エピソードを繋げた(その繋ぎも上手くない)感なのでツギハギっぷりが激しいです😅

ここまで主人公の存在が軽いのもなかなか観ないぞ!
主人公も狂犬ちっくで暴れ出したらなかなかいいバイオレンス振りを発揮するんだけど、いかんせん吉川晃司に存在で負けている。

吉川晃司のキレっぷりは所々で見事で歯磨きしながら無駄口叩いた大杉漣ボッコボコ。
「謝らんかいこらぁ!」と怒鳴った大杉漣の頭をブチ抜き、親父さんもブッ飛ばす。
ううむ…主人公よりカッコいい…。

ジャケットもふざけてます、及川光博の手には卓球のラケット。
彼、中国マフィアのボスの威厳は……。
主人公が連れてる彼女は元↑の恋人だったらしく、彼女を捕らえると、縄を背負って登場してきます…ミッチーその縄…太くない?どんだけ使うの?農作業?

主人公と吉川晃司のタイマンはカッコ良い。

ちょっと残念なのがラストかな。
盛り上がりがちょっと前で済んじゃってるので、蛇足感があります。

そんなこんなで、こんなワケワラン物も撮ってるよ!という三池崇史監督なのでした。