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日本の首領(ドン) 完結篇のd3のレビュー・感想・評価

3.6
中島貞夫監督追悼鑑賞。

全国進出を狙った中島組の興亡を描いたシリーズ三部作の最終章。
東映の悪いクセで、シリーズが続くと同じ役者が違う役で出てきたり、同じ登場人物を違う役者が演じたりする。
前作では関東側だった菅原文太も、本作では関西の人間として登場して忙しい。
当時は、映画鑑賞とはロードショーに限るものであり、ビデオリリースすら考えられていなかったから仕方ないのかもしれない。映画産業斜陽期に入っていたとはいえ、まだ撮影所が映画の生産工場として回転していた時代でもあったのだろう。

これまで「ゴッドファーザー」におけるトム・ヘイゲン的な立ち位置だったファミリーのなかでは異色の医師である高橋悦史が次第に極道的になっていくのがおもしろい。ただ、暴力的になるのではない。漢としての生き方、極道社会における家族の意味合いを体現するのである。

経済が発展していくなかで、大きな資本を持つものが力を得て、さらに大きな利権を掌握していく時代へ突入する。組織に信条など存在せず、食わせられるものに取り巻きが集まってくるのである。
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