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サランドラのsymaxのレビュー・感想・評価

サランドラ(1977年製作の映画)
3.3
LAに向かう途中、砂漠のど真ん中で立ち往生してしまったボブ一家7人と犬二匹…そこに現れたのは、異形の姿をした食人一家…彼らに道理は通じるはずも無く、次々と襲われてしまうのです…

ウェス・クレイブンがデビュー作"鮮血の美学"の次に製作した"田舎は怖いぞ"ホラー。

後に、ホラー映画の重鎮の一人となるウェス・クレイブンですが、やや乱暴なぶった斬り演出で、退屈と緊張、狂気と笑い、スリルと恐怖が絶妙にブレンドされていて、カルト化した作品と言えます。

全く予算が無かったのが伝わってくる砂漠のオールロケ、夜のシーンなんか主要な部分以外は、本気の真っ暗状態なんですが、オールロケだからこそ醸し出される不気味さを感じます。

この手の作品は、"悪魔のいけにえ"という、衝撃の最高傑作があるので、どうやっても二番煎じ的な見方をされやすいとは思います。

でも本作の面白さは、前半ターンでやられっぱなしのボブ一家が、後半ターンで逆襲に転じ、どっちの方が酷いのと言わんばかりの襲い方で、ちょっとしたカタルシスも感じてしまうという展開。

まさに、家族vs家族の構図が本作の大きな特徴ですね。まぁ、どっちの家族も応援は出来ないですけど…あ、シェパード犬のビーストだけは応援出来ます。

彼の悲しみの果ての復讐と狂気の名演技は、本作の肝となっていますので…主役は、このビースト君ですね。

パパジュピターを始め、食人一家の男どもは、見た目は、"アレ"だけど、名前はジュピター、マーズ、マーキュリー、プルートと惑星にちなんだ小洒落た名前のセンスがなんとも…

金は無くとも、面白い作品は作れるとウェス・クレイブンの心意気が前面に出た秀作です。
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