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荒野のストレンジャーのジャンのレビュー・感想・評価

荒野のストレンジャー(1972年製作の映画)
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町に敵が襲ってくるから放浪者に頼んで守ってもらうというのは西部劇における物語の典型だが、イーストウッドの身勝手な振舞いが町の中の悪事を浮かび上がらせていく。結果的に町を襲う連中にも、女を強姦するイーストウッド自身にも、どこにも正義はなく、燃え盛る炎を背景に鞭を振るうイーストウッドの超然としたイメージが宙吊りにされる。
町の中の悪として公共の利益のために個人を犠牲にすることが描かれるが、これは「硫黄島二部作」をはじめイーストウッド的な主題であり、イーストウッドのリバタリアン的な資質を表すものにも見える。
そして、町で虐げられてきたと見える小人症の男、夫に軽んじられる女性、貧しい先住民の親子が出てくる、多様性も見逃せない。
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