ぽかぽか

精神のぽかぽかのレビュー・感想・評価

精神(2008年製作の映画)
4.3
「家にいるとしばらく会ってない父親に似た声で「出ていけ」と言われる」と話す太っていて眼鏡をかけた女性が淡々と凄まじいエピソードを語る辺りから引き込まれてった。自分の子供を虐待して殺してしまった事とか自殺未遂した事とかあまりにも無感情に淡々と話すので恐ろしさがじわじわと襲ってくる。マザーテレサの言葉を引用する男性が真面目に語ったあとの照れ隠しの「はい、カット」の居心地の悪さ。笑い方が病的でうまく声が出てなくて気持ち悪い。自己完結していてすごくコミュケーションの瑕疵を感じるが、彼らはちゃんと会話できてるし、相手の声が聞きにくくても理解しづらくても人は応答しようとする。その男性が撮った写真とそれに付随して書かれた詩を女性が読み上げるシーンが映画的すぎるというか出来すぎてて怖い。朗読を聴く男性の顔が「映画の顔」としか言いようのないような物凄い顔をしてる。詩の朗読を聞いた女性が即興で短歌を作って詠み、それに反応して男性が俳句を即興で詠むところとかドキュメンタリーの奇跡だと思った。ラストのおじいの電話も迫力ありまくりですごい。
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