映画おじいさん

下郎の首の映画おじいさんのレビュー・感想・評価

下郎の首(1955年製作の映画)
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下郎・田崎潤と片山明彦の関係が、大戦中の日本兵と軍司令部のメタファーに思えたんですけどイージー過ぎますかね? 戦前の自身作『下郎』(未観)を戦後にリメイクしたのもそこに狙いがあったのかなと。

しつこいくらい、というより、うっとおしいほどしつこく田崎潤の足が痺れる描写をしていたけどあれは一体何だったのかな。あとで伏線回収的なところありましたっけ?

やはり文盲の悲しさ、無知の涙にヤラレました。あれは涙のためだけではなく、生きるための教訓でもあるでしょう。
有名な白紙の手紙のアップに心の葛藤をオーバーラップもさすが。
あと、下郎といざりが口論している橋の下で鍋を炊いているオヤジが自然に映り込んでいたり、川向こうの小さく映る人もしっかりしていたり、画面の隅々まで演出しているのが分かる画がとにかく素晴らしい。ラストの片山明彦を四方から迫るショットもすごい。

嵯峨美智子が田崎潤に一目でよろめいたポイントが分からなかったのが最後まで尾を引いた。

どうでもいいけど、島耕二の最高傑作が息子だという話にも納得。

いい作品だとは思いますが定評ほどの傑作とはまだ思えません。

(追記) 後から効いてきました。やはり大傑作です!