フジタジュンコ

トレインスポッティングのフジタジュンコのレビュー・感想・評価

トレインスポッティング(1996年製作の映画)
3.2
「レクイエム・フォー・ドリーム」を前日に見たのですが、同じようにドラッグをテーマにしつつもあちらとは異なり、こちらはみんなどこか楽しそうで、人生の破滅? なにそれ? 今が楽しければいいんだよファック!! みたいな勢いがあり、赤子が死んですらも何ら悲壮感がない。前評判の通り、音楽が凄まじくいい。

ふりかえると冒頭の”Choose Life”で現実の、まっとうだと言われる生き方のあらゆるすべてを「選ばない」ことを選択したレントンが、ラストにはまるで「選択」したかのように見えるのですが、これも非常に皮肉です。彼らは選択なんかしていないし、できないし、そもそも選択肢すらあるのかどうか…

「人生を、仕事を、キャリアを、家族を求める。クソでかいテレビを、食器洗い機を、車を、CDプレーヤーを、電動缶切りを求める、健康を、低コレステロールを、歯の保険治療を求める。固定金利の住宅ローンを、マイホームを、友だちを求める。遊び用の服を、バカ高級な生地のスリーピースのスーツを求める。日曜日の朝にクソDIYをして過ごすことを求める。カウチに座って、ジャンク・フードを口に運びながらくだらないTV番組を見ることを求める。腐った体をみじめな家でムダに過ごすことを求める」

こんなクソッタレな人生を「選ぶ」ことの意義とは?


なお、私は清潔なトイレがないと死ぬので、スコットランドには絶対行けないと思いました。