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ユンボギの日記のmayaのレビュー・感想・評価

ユンボギの日記(1965年製作の映画)
3.0
ちょっとあまり好きではなかった点があって、
・「子供」というキャラクターを使って大人が喋ってる
・ユンボギを「韓国の少年」という概念として描いてるけど、やっぱりそれだと大分当事者性が薄れてる、「こうだろう」と最初から撮りたいものを撮りに行ってる感じが強い
・そも、韓国語に慣れ親しんでる現代の私から見ると、韓国人に日本語をアテレコしてる時点でサムさ、グロさを感じてしまう
というあたりで、はっきり「ドキュメンタリーとして嫌いかも...」と思ってしまった。
あと、「お父さんを責めるな、女は稼ぎやすく、男は稼ぎやすい」の一文に「マジで言ってんのか?」と思ったけど、多分マジで言ってんだろな、、
大島渚の作品、突き放した第三者感(ディベートにディベートを重ねていく感じ)が大好きなんだけど、これは全くその姿勢が感じられない。韓国の苦しみを日本人が語ることの無理、ひいては当事者でない人間が誰かの苦しみを語る難しさ、限界を感じる。

追記、本作、大島の自主制作に近いらしく、ちょうど日韓条約が批准された時期で、国交回復に対するたった1人のささやかなプロテストの気持ちだった、とのことで、だからめちゃくちゃ大島目線が強いのか、と理解しました。『ユンボギの日記』を読んで映画化したかったけど、日本人がそんなことするわけにいかないし、、と考えた結果のこの手法だそうで、なるほどなぁじゃあまあ確かに精一杯かつ、大島監督の目的には沿ってるかなあと思いました。
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