吉良吉影

アメリカン・ビューティーの吉良吉影のネタバレレビュー・内容・結末

アメリカン・ビューティー(1999年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

いい歳した中年の夫が娘の友達に一目惚れをしてしまい、夫婦仲に綻びが生じて悲劇の結末を迎える。なんとも気持ち悪い設定だが、登場人物達は己の中にそれぞれに違う「美しさ」を見出しており、当時のアメリカの同性愛への偏見・銃社会・中産階級の家庭の「闇」が蠢く様を背反的に描かれていた。
90sではフェミニズム運動(特にジェンダーのダイバーシティ化)が進むことで家庭内の夫の立場が弱まりを見せた。それに伴い鬱憤やメランコリックが溜まり続ける背景をテーマにしており、正に当時のアメリカを知れるいい映画であった。
作品自体では、最初はレスターの変な妄想のシーンなどがコメディ感強めであったが、途中から笑い事ではない雰囲気(まさにブラックユーモア)が流れてくる撮り方が上手い。最後の最期までレスターの感情は理解出来なかったが、娘や妻を想う気持ちが無くなってはいなかったところを観てほっとした。だからこそ、最後の結末はモヤっとする終わり方だ。
『ユージュアル・サスペクツ』で演技力の高さを発揮したケヴィン・スペイシーを、本作でも味わうことができて良かった。

「フランク大佐の衝撃な展開は流石に驚いた、、」
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