このレビューはネタバレを含みます
この物語は悲劇だったのか、喜劇だったのか。それが、見る人に委ねられる作品。
主人公がどのように終盤の展開を迎えるのかというミステリー要素がありながら、各々の秘密を抱えたキャラクターたちのドタバタ群像劇でもある。そして、泥沼コメディ。
娘の友人に恋をして、その子が「筋肉がついたら寝たい」と言っているのを聞いて、本気で筋トレをしちゃうレスターに腹を抱えて笑っちゃって、
かと思ったら、サイコだとばかり思っていたリッキーの感性にも美しさがあって泣けてきて、
本当は誰とも寝たことがないとレスターに打ち明けたアンジェラや、ゲイを目の敵にしていたけど、実は男性に惹かれるということをずっと抑圧してきたリッキーのお父さんに涙腺崩壊。
みんな何かを抱えながら生きていて、すれ違いも多いけど、とても生き生きしていて良いなと思った。
「アメリカン・ビューティー」というタイトルは皮肉だとよく言われていて、それも理解できる反面、個性や人格のサラダボウルとしてのアメリカを描いたものでもあるのかなとも思った。
最近、こういう映画を見なかった気がする。私は、こういう映画が見たかったのかもなぁ。