T太郎

アメリカン・ビューティーのT太郎のレビュー・感想・評価

アメリカン・ビューティー(1999年製作の映画)
3.9
1050
お久しぶりに鑑賞したが、内容はすっかり忘れていた。

最初に観たのは私が生粋の若造の頃だ。
あまりにも若造だったので、当時の私にこの作品の本質を捉える感性は備わっていなかった。

だが、今なら胸を張って言える。
酸いも甘いも経験し、素敵な大人のおっさんに成長した今の私なら言えるのだ。

この作品の全てを見切ったと・・・

そんな素晴らしい私が、本作品の魅力を余すところなく、一般庶民の皆様にお伝えしていきたいと思料するものである。
(なんで偉そうなん?)

人はそれぞれ、独自の価値観や秘匿された本性を隠しもって生きている。
それは通常、夫婦や親子間であっても表に出てくる事はない。
皆、周りとの関係性に折り合いをつけ、空気を読みながら生きているのだ。

だが、一旦そのたがが外れたとしたら・・。
外れたとしたらっっ!
そんな物語だ。

主人公はレスターというごく普通の男だ。
妻のキャロリン、高校生の娘のジェーンとの3人家族である。

一見幸せそうで恵まれた家族に見えるが、実はそうではない。
レスターは妻と娘から非常に軽んじられているのだ。
その軽さたるや、まさにヘリウム並みなのである。

彼は毎日の生活を地獄だと言う。
生きてはいるが、死んでいるも同然だとも。
妻には馬鹿にされ、娘には憎まれ。
職も失いそうなのだ。

そして、ここにアンジェラという美少女が登場する。
娘のジェーンの友人だ。
女子高生またはJKである。

レスターはこのアンジェラに懸想してしまうのだ。
娘の同級生にである。
相手は女子高生またはJKなのである。

レスターはアンジェラとの官能的な、あれこれを夢想して悶々とするのだ。

そのアンジェラだが、どんな神秘的で謎めいて特別感のある少女なのかと思いきや、実は非常に世俗的で鼻持ちならない嫌な女なのである。
そんな少女に夢中になるレスターも底が知れていると言えよう。

更に、隣家に越してきた米軍大佐の一家だ。
大佐殿と息子のリッキー。
彼らもレスターの物語に濃密に絡んでくるのである。

レスターの物語と言ったが、そういう視点で見れば、妻のキャロリンは非常に悪妻だ。
浮気はするし、レスターへの敬意や関心がまるでない。
私であれば、早々に三下り半を突きつけているであろう。
そんな妻なのである。

そのキャロリンを演じているのが、アネット・ベニングだ。
悪妻ながら、実に可愛い。
とても憎たらしい役柄なのだが、憎みきれない可愛らしさがあるのだ。
これは、アネットの演技力やそのキャラクターによるところが大きいと言えよう。

思わず、結婚してと言いそうになった次第である。

主な登場人物は8、9人ぐらいだ。
まともな人・・普通の人・・善良な人・・・つまり私のような人は登場しない。
私は非常に良識あるナイスガイとして有名なのだ。

この作品は、そんな私とは正反対の人々が繰り広げる人間ドラマにしてコメディである。
非常に見応えのある面白い作品だ。

さて、以上この作品の表面的なあれこれを書いてきたが、いよいよ核心へと入っていこう。
なんせ私は、この作品の全てを見切った男なのだ。
その魅力を余すところなく語っていきたい。

・・と思ったのだが、紙面には制限がある。
(ないよ)
残念ながら今日はここまでだ。
続きは次の機会という事でご容赦願いたい。

        完
T太郎

T太郎