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ラストゲームのnetfilmsのレビュー・感想・評価

ラストゲーム(1998年製作の映画)
3.7
 塀の高い壁の中、コート上ではシェイク(デンゼル・ワシントン)がバスケットボールに興じている。たった1人のコート、鮮やかにゴールに放り投げる手捌き。その姿を見つめていた主任は、ワイアット刑務所長(ネッド・ビーティ)が話があると彼に言う。ある罪のせいで、殺人罪で十数年の刑期を有するシェイクだが、バスケットボールの天才高校生プレイヤーで、息子であるジーザス(レイ・アレン)を、知事の母校であるビッグ・ステート大に入学させることに成功すれば刑期を軽くしてやるという。NBA候補の花形プレイヤーであるジーザスは、たくさんの人の注目の中、NBAか、大学進学かという、重大な決断を1週間後に下さねばならなかった。シェイクは出所後まず、ジーザスの妹のメアリー(ゼルダ・ハリス)と会うが、2人は従兄のコールマン・'ブッカー'・サイクス(ヒル・ハーパー)の夫婦から離れて暮らしていた。2人が暮らすアパートを訪ねたシェイクだったが、突然現れた父を前に息子は頑なに口を閉ざす。

 父との不和で心を閉ざしたジーザスは、自らの手でビッグ・ドリームを手にする。夢にまで見たNBAの1位指名か大学のスター・プレイヤーとしての生活か?息子は来週の月曜日に全ての決断をすると述べるが、順風満帆な未来を約束された黒人選手には、様々な誘惑の手が忍び寄る。甥っ子を金の成る木としてしか見ていない叔父夫婦、違法なスポーツ・エージェントへの接触をお願いする恋人ララ・ボニーラ(ロザリオ・ドーソン)の悪魔の囁き、プエルトリカンはオープン・カーに誘いながら、有色人種のスター・プレイヤーの悲しき末路を嘲笑うかのように話す。代父のように信頼しきっていたコーチの悪魔の100万ドル、ここでも『ドゥ・ザ・ライト・シング』のサル(ダニー・アイエロ)のように、イタリア系アメリカ人エージェントの口の巧さにジーザスは危うく騙されそうになる。故意ではない過失によるシェイクの15年の刑期、彼の贖罪の念を受け止めるかのようなダコタ・バーンズ(ミラ・ジョヴォヴィッチ)の不幸な生い立ちとすっかりやせ細った佇まい。父子2人が描いたループの軌道はゆっくりと弧を描くようにゴールに吸い込まれて行く。
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