三樹夫

フォーリング・ダウンの三樹夫のレビュー・感想・評価

フォーリング・ダウン(1993年製作の映画)
4.2
シュワ、『ゴッドファーザー PART III』のパチーノと肩を並べる3大洋画角刈り主人公のひとつ。主人公ではないが『ビッグ・リボウスキ』や『マインドハンター』にも角刈りのおっさんが出てくる。洋画の角刈り好きはマストウォッチな作品となっている。
話は角刈りの激おこオヤジが感情の赴くままに怒りを爆発させたら所持ウェポンがどんどん凶悪化していくバイオレンスわらしべ長者世直しコメディとなっている。おそらく『タクシードライバー』を元ネタとしているであろうことが推測され、無職の激やばおじさんがただ単にブチ切れているだけだが、怒りの矛先がわりかし的を得ており図らずも世直し要素を持ってしまう。コンビニ襲った時の主人公のD-フェンスは、韓国系アメリカ人の店主のおっさんに対し英語を使え、韓国にいくら支援したのか分かっているのかと発言しており碌でもない奴であることが分かる。いくらぐらい支援したののアンサーがとにかくたくさんという、この映画は刑事のおっさんと同僚の女刑事、主人公の元妻ぐらいしかまともな大人がいないバカとクズの見本市というコメディになっている。つーかとんでもない治安の悪さ。2、3ドル恵んでくれマンの全台詞がキレキレで即論破のマヌケぶりはあんなの笑うわ。

うだるような暑さの中渋滞で車が動かず、エアコンも作動せず窓も開かない、車内で蠅が飛び回り、周りの車はゴミばかり。こんなもんやってられるかと外に飛び出して、D-フェンスの街の理不尽とダニ共を掃除するバイオレンスわらしべ長者世直し旅が始まる。コンビニで物価の上昇に怒り、因縁付けてくるチンピラ共にブチ切れ、ファーストフード店では数分過ぎたら朝メニューはもう終わりましただぁ?宣材写真と実物のバーガーがまるで違うじゃねぇかと吼えるという何気に共感できる怒りなのが笑う。ファーストフード店の店員がかぶっている帽子がクソみたいなデザインなのもコメディ要素としてポイントが高い。その後もLGBTQ差別、性差別、人種差別の差別の役満のネオナチや、予算消化のためだけの意味のない道路工事、土地すらも独占する会員制ゴルフクラブの金持ちのクソジジイにブチ切れるというもはや社会派であった。これって脚本家が実際に体験した許せねぇを思いつく限りぶち込んだだけなんじゃ…。

The customer is always right 、英語にもお客様は神様って言い回しあるのね。また一つ生きた英会話を学んでしまった。
オールバックの刑事うぜぇ。しつこく腕時計見せていつまでかかってんのアピールという、アメリカ流人の怒らせ方。
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