誰にでもある日常に積み重なる不協和音。
それらに耐えきれなくなった男が徐々に壊れていき、歯止めが効かないまま突っ走ってしまう様を描くサスペンススリラー。
工事渋滞、接客態度の悪い店員、絡んでくるチンピラ、見本とまるで違うファーストフードの商品…それらに対する彼の怒りの暴走へは共感を覚えつつも、その徹底したシンプルさが怖くなる。
しかしそんな男にもまるで対局な目的があり、他の登場人物もそれぞれの日常のトラブルを抱えており登場人物たちは様々な面を見せてくれる。
暴走する男に共感を覚え、爽快感すらある序盤から、後半になるにつれ社会における心に鬱屈としたものを持った人間を描いた深いテーマの作品であると痛感できる。