なべ

ブレイドのなべのレビュー・感想・評価

ブレイド(1998年製作の映画)
4.5
 マハーシャラ・アリでリメイクされると聞き、久々に観てみた。なんと、Blu-rayが開封されてないじゃないか!なんたる体たらく。なんたる怠慢!(だってDVDで飽きるほど観たんだもん)。

 ハイランダーやマンディと同じく、好きというのも憚られるオタ臭全開の厨二アクション映画。
 もう中2が考える「カッコいい」がすべて網羅されてるからね。設定からストーリー、キャスト、アクション、すべてがキメッキメ。つくった奴頭わるそーw

 モーションロゴがまだない頃のマーベル作品。MCUではないから当然アベンジャーズのお仲間は1ミリも出てこない。
 オープニングは、首から大量に血を流し病院に運ばれる妊婦のシーンだ。うん、わかりやすい。ブレイドの出自が一目瞭然!
 からのタイトルシークエンス。コマ落とし撮影による景観が何気にいい味。ビルに伸びる影が不吉さを感じさせて良き。
 本編突入後、まず注目してほしいのがチャラ男をナイトクラブに誘う前髪パッツンの赤毛女。なんと、トレーシー・ローズじゃないか!男の股間をむんずと掴んだり下卑た笑いがかつての女王感を偲ばせる。姐さんだと思ってたけど年下だったのね。ご無沙汰してます。その節はお世話になりました♡

 食肉加工場内の秘密クラブではレイヴの真っ最中。ニューオーダーのコンフュージョン(これは本気でカッコいい)が鳴り響くなか、会場は徐々に盛り上がり、全員の手が上に伸びたところで始まる血のシャワー。古式ゆかしいゴシック吸血鬼と違って、パリピなヴァンパイアたちは遊び方も現代的だ。明滅するライトとスプリンクラーからほとばしる鮮血がゾクゾク感を加速する。血を浴びて鬼と化すヴァンパイアどもと逃げるチャラ男。音楽が終わり、ブレイドの登場。デイウォーカーの出現に怯む吸血鬼、そして始まる大殺戮。
 特殊合金の日本刀で悪鬼どもをなぎ倒す太刀捌きの流麗なこと!防弾プロテクターとロングコートに身を包み、速く、美しく、切れ目のないノンストップアクションに悶絶する。斬られたヴァンパイアどもの死に様も素晴らしく、一瞬で蒸発するものの、ちゃんと皮と肉が崩れた後に骨が現れて塵となる。トレーシー・ローズも瞬殺。歳をごまかし15歳でポルノ女優になった悪しきレジェンドをなんともったいない。
 ところどころでいちいちポーズをキメるウェズリー・スナイプスがキマッてるぅ。この臆面のなさをダサいというなら甘んじて受け入れよう。ダサいと言われようが恥ずいと言われようが、ぼくは平気だ。この映画を愛してるからね。
 クインを磷り付け、火を放つエグさがまた爽快。わざと殺さないのだ。ブレイド、あんた最高かよ。
 警察がなだれ込んできてヴァンパイア狩りは終了となるが、ここまでの流れは非の打ちどころがない。AKIRAかブレイドかってくらいスピード感あふれる最高の導入部だ。
 ここからは焼け焦げたクインが病院でDr.カレンを噛んだり逃げたりするんだけどそこはまあ観て。

 ストーリーはさておき、純血種ヴァンパイアの長たるガエタノにも注目しておこう。トリアー作品でおなじみのウド・キアだが、B級映画でちょいちょい見かける御仁。ウォーホルの「処女の生血」でヴァージンの血しか受け付けないグルメなドラキュラに扮してた彼が、本作では暗黒院の統括を務めてる。出世したもんだ。ペンチで犬歯を抜かれる哀れさと、朝日を浴びせられる最期を見届けよう。これ以外にも吸血鬼役で出てた気がするのだが思い出せない。

 雑種の下克上、相棒ウィスラーの男気、日焼け止めを塗って外出するヴァンパイア、カレンは変成してしまうのか、古文書に記された吸血の神マグラは果たして復活するのか、そして血清は間に合うのか。
 恥ずかしくもカッコいいブレイド兄貴の活躍はU-NEXTやdTVで観られる。

 脱税で禁固3年の実刑を食らったことはもう忘れてあげてね。これからもウェズリーをどうぞよろしく。
なべ

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