マーチ

NINIFUNIのマーチのレビュー・感想・評価

NINIFUNI(2011年製作の映画)
3.2
終わった瞬間は「で、なに?」という感じだったが、時間が経つに連れてなんかジワジワくる…ジワジワと思いを巡らし、この作品に囚われていく。

メイキングで製作の人が語っていたように、ある出来事を何のドラマチックさもなく本当にただ“提示”しただけの作品なので、見終わってからジワらなかった人は記憶からもそっと消えていくのだろうと思う。その一方で、ジワった人はひたすらこの作品に囚われる。一見なんて事ないシーンであっても、様々な解釈を巡らせてしまう。

前半はセリフがないし、上記の調子なので退屈な人には退屈かもしれないが、浜辺のワンショットで表現される手前の「死」と奥行きの「生」。こういうショットにシビれる。編集には、この後の真利子作品に通ずる独特のテンポが既に見て取れるのが面白い。

ももクロが出てるからといって、アイドル映画ではないのが意外。ももクロは“生の躍動”のモチーフに過ぎず、大衆から目を惹く対象としての起用でしかない。それとは対極の存在として、静かに自殺する主人公がいる。あまり面白い訳ではないが、考えさせられる部分の多い作品だった。
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