ヤスマサ

アイガー・サンクションのヤスマサのレビュー・感想・評価

アイガー・サンクション(1975年製作の映画)
3.5
山を舞台に、スパイの報復劇を描いたサスペンス・アクション。
かつてはCIAの殺し屋だったジョナサン・ヘムロック(クリント・イーストウッド)は、CIAのスパイを殺された報復に引き出され、難なく成功するものの、実は殺されたスパイはジョナサンの友人で、犯人はもう1人いたことを知らされると、新たな標的は片足が不自由で近々アイガーに挑戦する国際登山チームの一員という以外は正体不明という情報を元に、旧友ベン・ボーマン(ジョージ・ケネディ)と準備を進める。

山が舞台だけあって、アリゾナで調整を行うロッククライミングのシーンや、氷で覆われたアイガー北壁のシーンは圧巻。
最後まで標的が分からないサスペンス感も堪らない。
しかし、スパイの報復を目的に始まるストーリーは、復讐の要素まで含んでくるものの、何かと回りくどく、コメディ感を織り交ぜているせいか、要らないシーンも多いように感じる。
原作ありきだろうが、ヘムロックがアイガーの登頂に2度挑みながら2度とも失敗している元CIAの殺し屋で、絵画コレクターでもあり、今は美術の大学教授…、というキャラクター設定もやや散らり気味。
美術関連については、CIAが仕事を依頼する代償の口実にしか使われてない。
その他のキャラクターも然り、CIAのドラゴンなる男の設定など、ストーリーにどう活かされてるのかよく分からない。
結局、復讐感は殆どなく、報酬目的の結末に少々拍子抜けした。
それでも、素晴らしい景観と危険な撮影に引き込まれる作品。

余談だが、アリゾナでのネイティブ・アメリカンの女性との訓練のシーンで使われたBGMが独特だなと感じていたら、音楽がジョン・ウィリアムズだとのことで驚いた。
ヤスマサ

ヤスマサ