あなぐらむ

現代やくざ 血桜三兄弟のあなぐらむのレビュー・感想・評価

現代やくざ 血桜三兄弟(1971年製作の映画)
3.7
シネマヴェーラ渋谷・荒木一郎特集で。
文太さんも出てるが、実質荒木一郎が主役とも取れる中島貞夫作品。
中島貞夫映画はいつだってかっこ悪い、鬱屈した青春映画だ。現状を打破したいができないでもがく若者を、或いは突破しようと悪あがきする若者に、中島は荷担する。
文太兄のやるせなさ。渡瀬、伊吹の焦燥が刺さってくる。渡瀬恒彦は中島貞夫監督作品が断然いい。

やくざの見本の様な存在の小池朝雄を冴えない地方の若者・モグラこと荒木一郎が倒してしまったという変転で事態を大きくしてしまい破滅を呼ぶ展開と、死に花を散らせる殴り込みにさえ参加できないモグラの悲しみ。彼は「マリリン・モンロー・ノーリターン」を口ずさむしかない。苦い。
とても淋しくて切ないけれど、嫌いになれない映画。杉本美樹ティも出てるが、ここでは情婦役。こういう映画はデジタルではなく、フィルムで観たい。