イチロヲ

喜劇 女は男のふるさとヨのイチロヲのレビュー・感想・評価

喜劇 女は男のふるさとヨ(1971年製作の映画)
4.0
庶民的な生活様式に戻れなくなったストリップ嬢(倍賞美津子)が、堅実な性格のヒモ男(河原崎長一郎)と一緒に巡業を開始する。社会的底辺部の女性が活発に立ち回る、女性主導の喜劇映画。藤原審爾・著「わが国おんな三割安」を原作に取っている。

ストリップ小屋に従事している人間たちを、社会から疎外された運命共同体として描いている、アウトサイダー映画の典型例。多様な境遇をもつストリップ嬢たちが、森繁久彌と中村メイコの夫妻が経営する斡旋業者に出入りしながら、スッタモンダを繰り広げる。

サブキャラでは、スッピン状態の田舎娘からメイクバッチリのダンサーへと変身を遂げる緑魔子がベスト。後年の「日本人のへそ」でも、ほとんど同じ芝居を見せているが、本作では性観念の屈折具合(=性産業からの脱出状態)が痛烈に描写されている。

同監督は、本作のフォルムを整えて、ポルノ描写のリミッターを外すことにより、東映にて「喜劇 特出しヒモ天国」(1975年度)を製作。「底辺部のジタバタ模様に本質を見る」という、森崎東の人生讃歌論には、ただただ感服するばかり。
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