らんらん

千石纏のらんらんのレビュー・感想・評価

千石纏(1950年製作の映画)
4.0
江戸の華は火消しと相撲!
に組の纏持ち長次(片岡千恵蔵)と不知火部屋の関取不動山(市川右太衛門)はどちらが道を譲るかといったささいな事で大喧嘩
親方に勘当された不動山は道すがら老婆の励ましに奮起、親方の許しを得て横綱を目指す
一方長次の方も生き別れの義母、義妹の存在を知り、立派な纏持ちになることでおとっつあん(小杉勇)の許しを得ようとするのだが、
大友柳太朗率いるヤクザとのいざこざで片腕が使えなくなってしまい、自暴自棄にもなる
でも纏は腕で持つもんじゃない、腹で持つものだ!ってことで一件落着な物語

見ようと思ったのは片岡千恵蔵と市川右太衛門の共演目当て(さらには月形龍之介や大友柳太朗も)
片岡千恵蔵に関しては「赤西蠣太」とか戦前の作品で若き日の姿を見たことがあるけど、市川右太衛門に関しては見て来た中で一番若々しい!

両者とも年齢は40超えなんですが、東映御大時代とは顔つきや声が違う、クドくないのw
ただ存在感、貫禄は相変わらず凄くて、何より両者恰幅が良いので相撲取りの役をやらせてもそうみえちゃうw
市川右太衛門の関取姿、裸にマワシ一丁での熱演、身の上話に涙する姿なんかも珍しくていいもの見たなーって感じ
ヒロインの芸妓花柳小菊も凄い魅力的だった、淡島千景っぽい

そして!冒頭の東映三角マークがいつものと違うシンプルなもの
この映画の製作は東横映画、かつて存在した映画会社らしくその存在を知らなかったのでいろいろと調べちゃいました
東横映画の作品を見たのは初めてだと思う、出演者からわかるように東映の前身の一つであるとか、ちなみに現存が確認されている作品は10数本しかないらしい

あとは1950年の時代劇映画って点も興味深い
当時GHQの方針により時代劇、チャンバラ映画が自由に作れなかった時代があった、時代劇のスターであった阪妻は「王将」、片岡千恵蔵は「多羅尾伴内」なんかの現代劇にシフトしている
これが自由化されるのが1951年の9月ということだからその前の作品なんですよね

ストーリーも面白いし出演者についても色々と発見収穫があった作品なんですが、
この当時あった時代劇規制、東横映画について等、その背景のほうも興味深く勉強になった映画
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