『無常』『曼陀羅』に続く実相寺監督の3部作、完結編。
コントラストの強い闇と光。
時計の音、食べる音、拭く音、際立つ音の存在感。
繰り広げられるエロス。
不穏なカメラワーク。
シュールな構図。
ヴィヴァルディの弦楽奏とともに高まる緊迫感…
日本家屋の暗さと、エロスがねっとり絡み合う不気味なアート感が実相寺監督らしい。
ある資産家の三男が家を守ろうとする話ですが、説明してもわからないヤツです。ラスト10分のために今作があったのではと思わせる展開。精神の崩壊した日本を資産家の森山家になぞらえて描いていて、実相寺監督の日本への危惧感が伝わりました。ラストの篠田三郎さんは並じゃない。
「ヨーロッパもアメリカも日本ももう滅びたんだ。
世界そのもの、存在そのものが一つの夢なんだ。
この宇宙を構成している無機物の気まぐれのひとつなんだよ。」
精神が空っぽでもカタチさえ残っていれば何とかなるという嘆き方がカッコいい。後はウルトラマンを呼ぶしかない。