RIO

ふたりのRIOのレビュー・感想・評価

ふたり(1991年製作の映画)
4.0
夢の中ならなんでも思いのまま

石田ひかりのふわふわと囁くような声が心地いい 透き通っていました

探し物を見つけようとするとその物はいつでも影を潜めてしまう
頭には浮かぶけど形にならない言葉

ミカは子供が母親を探すように姉のチズコの名前を呼ぶ 姿を見せてと祈る
形は消えて残るのはいなくなった人の思い出
悲しくて仕方のない虚無を埋めていく優しいぬくもり
チズコはミカの傍にずっと居てくれた
ミカにしか姿が見えないし声が聞こえてるのも密接な雰囲気で胸がキュッとする

遠くから映される町並み
尾道に住む人の息づかいまで感じる
台詞がいちいち辛辣なのも大正レトロを引き摺っている道具たちも大林宣彦ワールド

鏡の正面に立つ2人の間に流れる忘却の川

事故で逝ってしまったチズコを毎日想い
棲む場所は違っていても想えばいつも一緒にいるということがこんなにも美しく現された感性はやはりただ者ではない
監督が撮ると気持ちの悪い感じがそうではなくなる
何故かな



……

わがこころ夢追いて 帆を張りつ 遠つ空偲びつつ
やさしさも つれなさも 影見せぬ 汝がまなこ
金と鉄うち合わせ 作る 冷たき宝玉*かざり

ボードレール
RIO

RIO