東京オリンピック前夜の頃の北海道。
こんな風に感情をむき出しで、泣いたり笑ったりわめいたり、かつての日本人はこんな風だった。まるで異国のように何かが決定的に変わってしまったのだろうか。
見方によってはフェリーニの「道」の変奏である。知的障害のある無垢な娘ジェルソミーナ=芦川いずみ、粗野で彼女を利用して後悔の涙を流すザンパーノ=宍戸錠、繊細な心の持ち主キジルシ=アイ・ジョージ…。
このザンパーノはゲイあるいはバイセクシャルだったかもしれない。また、このキジルシは人買の冷血漢と思わせて傷心の詩人(詩人とは心のきれいな人、という印象的なセリフ)だった。野獣のように見えて、とのその謂いだろう。
だが、幸福をもたらすジョニーは海のかなた…