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ミッドナイトクロスのよのレビュー・感想・評価

ミッドナイトクロス(1981年製作の映画)
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手に入れた断片の情報を頼りに、不確かな真実を間違いないものとして偏執的に追い求めるストーリーがアントニオーニの『欲望』と重なった。冒頭数分の劇中映画に象徴的な、覗く者/覗かれる者の一方向の窃視症的サスペンスの面白みが全編に通底していて、『欲望』とは異なり「音」を頼りに想像を膨らませる展開ながらも視覚的な満足度も高くて隙がない。ビール瓶で男の頭をかち割るシーンの天井裏ぶち抜きショットを見て、ふと『DOOR』(邦画のほう)の似たようなショットでもデ・パルマを感じたなあと記憶が蘇ったのだけど、俺がデ・パルマを感じる一番の要素がトリッキーなカメラワークでも画面内を分断する擬似的なスプリットスクリーンでもなく窃視症的な演出というのがなんとも偏っている。ヒッチコックの影響をやたらと公言してるイメージのあるデ・パルマだけど、この映画に関しては間違いなく『裏窓』より『欲望』の影響が強い、はず...。
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