jazzyhal

恋人たちの食卓のjazzyhalのネタバレレビュー・内容・結末

恋人たちの食卓(1994年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

若かりし頃に見て以来、10年以上ぶりに見返しました。
アン・リー監督初期の傑作。

実に素晴らしく、鮮やかな終幕でした。
ちょっと言葉が出ません。
言葉になりません。

本作は映画冒頭から全編を通して、人の食欲をそそる美しい映像がこれでもかと散りばめられていますが、それと同じように、
人生におけるちょっとした真実や皮肉、
そして実は大事にすべき価値あるものが、
随所に散りばめられた、
とても魅力的な映画です。
映画に勢いがあるので、途中からグイグイと引きこまれていきますね。
それにしても、あの幕引きの美しさたるや。

父と娘の長きに渡る瓦解が溶けて
ようやく邂逅できた美しい瞬間、
ここには観る人によって色々な意味や解釈ができると思いますが、

例えば、どんなに高級な、または美味しい料理を作って並べたとしても、味覚が分からなければ、それは本当のところは意味がないに等しいものといえます。
しかし、愛娘の手料理、しかも自分が過去に料理の道から退けさせた娘からの手料理で、
味覚が戻るあの瞬間、

それは父にとって、どんな美味しい料理を食べた時、作れたときよりも、ある意味価値のある瞬間だったのかもしれませんね。

何がどうこうとは簡単には言い表せないのてわすが、
観終わった後にはなぜだか心が軽くなり、
ハートフルになることができる、
とてもとても大好きな作品です。

この後にアン・リー監督はブロークバック・マウンテンなどの傑作を発表していく訳ですね。
jazzyhal

jazzyhal