ローマおばさん

恋人たちの食卓のローマおばさんのレビュー・感想・評価

恋人たちの食卓(1994年製作の映画)
4.4
結婚適齢期を迎えた3姉妹と父の話。

元一流シェフの父は毎週末、彼女たちを集めて食事会を開いていた。

食事会では、皆どこかしら冴えない顔で黙々と食べている。豪華料理のような華やかさとは対照的だ。

しかしあることをきっかけに、姉妹たちは私生活の悩みや、今まで言えなかった思いをポツポツと語りはじめるようになり、
それぞれ恋愛や結婚を経て、家族の形が変化していく。

小津映画によく似た世界だが、少し違うのは最後にひとり残されるはずの人までも新しい人生を歩み出すところ。これにはびっくり。

骨董や反物で映画を彩った小津に対し、アンリーの映画は中華料理が美しい。
中華刀で生姜を刻んだり骨付き肉をたたき切ったり、
円形のまな板、蒸籠からわき出る湯気、
整列した瓶入りの薬膳、
皮を剥いだアヒルの口から空気を入れパンパンに膨らませて油をかけたり、
桶に泳ぐ鯉をつかまえて一気にさばく下ごしらえが見てて楽しい。

あざやかな調理シーンに惚れ惚れする。
ローマおばさん

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